"生きづらい〈私〉たち"

http://d.hatena.ne.jp/genesis/20051129/p1

「生きづらい」と訴える「患者さん」は,病気なのか健康なのか。あるいは異常なのか,正常なのか。そうした区別が意味をなさなくなった精神医療の現場が,目前に捉えている事例を紹介するエピソード集。結論が殆ど無いか,あっても香山の現時点における到達点を記したに過ぎない感のある読み物。良く言えば,精神科医の苦悩を率直に表明している。

 実際の世界と、実世界を見て形成される世界像と、育んだ、あるべきな世界観の不一致が根底にあるのだろう。世界と世界像と世界観は同じではない。昔は地面とか、山とか川とか消える飛行機雲とか夏の線路とか、そういうものを基準に世界像を絶対化し、その上で世界観を比較できたのだが、今は世界像も相対化されているために、測定し評価することができなくなっている。