妄想

 鉄道で、ちょっと大きな街を通った。地方の歴史のある街で、広い河を鉄橋で渡る。川沿いにはちょっと大きな公共施設とかビルが見え、向こうには山。
 こういう街の郊外に生まれ、郊外の高校(県立)から街の大学(国公立)に入学し、それでもって図書館の司書のような仕事に就き、昼間は管理、一戸建ての自宅で読書、休みの日には繁華街の古書店や美術館へ行き、たまに東京へ出かけて、なんていう人生が存在したか、と考えてみた。そもそも、そんな生活自体がありえないのだろうか。