"やおいの距離感"

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通常の(主に男性向けの)エロゲではプレーヤーが人間として世界に参加し、恋愛に失敗することもあるのに対して、やおい的な世界では、鑑賞者は基本的にその世界に入り込まず、傍観者・構築者・夢想者・第三者・神の立場にとどまる。

前者ではプレーヤーが恋愛に失敗して傷つき、心の痛みを味わうこともあるだろうが、後者では世界に参加していないので、そういうふうに巻き込まれることがない。プラトン的に言えば、エロゲが「(現実の恋愛という)偽物」の偽物であるのに対して、やおいイデアの直接の実現なのだ。したがって、絶対音楽である弦楽四重奏曲を聴いて傷つくことがないように、やおい自体で傷つくことはない(やおいをめぐる人間関係では傷つくことはあるが)。

 やおいが観測者視点、というのはよく知られた指摘で、エロゲとの対比がおもしろい。一般論としては正しく、でも、趣味の悪い自分は、例外事項に思いを馳せる、のだった。