3.2 センによる批判̶̶適応的選好形成
http://www.econ.ryukoku.ac.jp/~komine/hope/inoue0802.pdf
センは以下の理由から、厚生を福利の指標とし、その平等化を図る議論を批判する。
→ハンディキャップを負った人や抑圧的な環境に置かれた人の中には、自身がフラストレーションに苛まれないように選好自体をその環境に適応させていく人がいる[=「すっぱいぶどう」の例に代表される適応的選好形成(adaptive preferences)]。そうした選好の充足を、ハンディキャップや悲惨な社会経済環境とは無縁の人の選好充足と等しいものとみなすことは、そもそも平等論的見解として受け入れられないものであろう(Sen 1985, p. 197; 1992, pp. 54-5; see also 若松 2004、39-41 頁)。
このあたりが語源かな。
「差別環境下にある個体が、環境に適応することで差別を強化したり(植民地出身者の植民地軍の兵隊、遣り手婆婆など)、差別を合理化するような行動を取ったり(土地を収奪され、プランテーションの労働者として雇用されることになった現地住民が、労働の成果を直接得られないため労働意欲が減退し、植民地の宗主国人に「奴らは怠け者だから、俺らが支配しないと駄目なんだ」)するようなものか。