"エンジン設計のキーポイント探究"

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「世界の航空エンジン」を読んで、成功した航空エンジンの開発は、開発の最初から第2次大戦終結まで一貫して同一チーフエンジニア・チーフデザイナー・開発チームによって行われていて、技術導入による場合も1機種(例外的に2機種)でそれを発展させたものであった。中島のように多数の会社から多機種を導入した例はない。中島では導入技術を完全にマスターすることなく、つぎつぎにその時点の高性能エンジンのライセンスを購入した。その結果、エンジン技術のキーポイントを学び得ないで高性能化に熱中した。これでは中島のエンジン設計技術は大学の卒業設計と言われても仕方のない状態であった。

"見本エンジンをそっくり真似なかった"

見本エンジンにはノウハウが多数入っているが、経験豊かな技術者でないとどこがノウハウか判らない。中島は欧米より製造ライセンスを多数導入したが、ライセンス通り製造したのはロレーンとジュピターのみであり、これらはいずれも国産化に成功した。
 その後、上記の10種類ものボアを使って自主開発したが、成功例は僅かであった。
 中島の長老的技術者はこの事に気付いていた。
 後日、富士精密工業で自動車エンジンの設計に際して、新山専務は見本エンジン プジョー202をそっくり真似よと指示したが、これが守られず設計担当になった私は苦労した。

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最近の、VWのエンジンはモジュラー設計らしく、気筒500ccを4つで2l、V8で4l、W12で6l、W16で8l、ちょっと変化させてV10で5lという雰囲気でラインナップをつくってる。それに、ターボをつけて馬力を調整したりしなかったり。エンジンは、馬力もさることながら、近年では燃費、そして環境性能を高いレベルで両立させる必要が出ている。昔は、「ちょっとシリンダの壁を削り、太いピストンいれてボアアップ」「厚いガスケット噛ませ、長いクランクに変えてストロークアップ」とかやったとかやらないとかいう話だが、燃焼室の形状が変わると、吸入した混合気の分布や、点火された混合気の燃焼の伝搬が変化し、混合気が過小だとNoXになったりならなかったりするようだ。それを、全回転域について検討しなくてはいけない(ゼロヨンレーサー、みたいな車種とか、販売も車検も前提としない改造車なら、マックスパワーさえあればいいのだが)。設計の手間を考えると、モジュラー設計も納得いくところだ。あと、近年の自動車で問題になった話は聞かないけれど、空冷の場合、馬力を増やそうとすると、冷却の問題が出るしな。