条項で大切なものは

教育勅語が話題になっている。
教育勅語にはいい条文もある、是々非々で論ずるべきだ、って意見もある。


さて、素晴らしい条文といわば、ワイマール憲法

 第1条 ドイツ共和国(ライヒ)は共和国である。国家権力は国民に由来する。
 第21条 議員は、普通、平等、直接および秘密の選挙において、比例代表の諸原則に従い、満20歳以上の男女によって選出される。
 第151条 経済生活の秩序は、すべての人に、人たるに値する生存を保障することを目ざす、正義の諸原則に適合するものでなければならない。(中略)
 第153条 所有権は憲法により保障される。……所有権は義務を伴う。その行使は同時に公共の福祉に役立つものであるべきである。(中略)
 第159条 労働条件と経済条件の維持と改善とを目ざす団結の自由は、あらゆる人々とあらゆる職業に対して保障される。(後略)

生存権を認めた先進的な憲法であった。

 第48条 ドイツ国内において、公共の安全および秩序に著しい障害が生じ、またはそのおそれがあるときは、ライヒ大統領は、公共の安全および秩序を回復させるために必要な措置をとることができ、必要な場合には、武装兵力を用いて介入することができる。この目的のために、ライヒ大統領は一時的に第114条(人身の自由)、第115条(住居の不可侵)、第117条(信書・郵便・電信電話の秘密)、第118条(意見表明の自由)、第123条(集会の権利)、第124条(結社の権利)、および第153条(所有権の保障)に定められている基本権の全部または一部を停止することができる。

しかし、どの条文が重要かって言えば、この48条。当時としては常識的で、現在でも緊急事態条項を備えた憲法は多いようだが、ここをつけこまれて、ワイマール憲法は空文化した。いやべつにさ、48条まで真似ろなんて話は聞いたことが無いし、ワイマール憲法を賞賛する人は、部分とか思想に対してなんだけど、脆弱性を滑り込ませた条文はねぇ。