蛇口の話。カーゴカルトの話。

 地方自治体からの要請を受けてきたある航空会社の担当者は、路線廃止が決まった自治体の空港関係者がもらした言葉が忘れられないという。

 「空港があるのが当たり前なら、飛行機が飛ぶのも当たり前だと思っていた」

http://sankei.jp.msn.com/region/tohoku/aomori/081009/aom0810090341000-n1.htm

を見て、カーゴカルトを思い出した。

カーゴ・カルト(Cargo Cult,直訳すると「積荷信仰(つみにしんこう)」)とは、主としてメラネシアなどに存在する招神信仰である。いつの日か、先祖の霊・または神が、天国から船や飛行機に文明の利器を搭載して自分達の元に現れる、という現世利益的な信仰である。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%B4%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%88

特徴は呪物崇拝としての文明の模倣である。かつて積荷が運ばれて来た時の状況(太平洋戦争時のアメリカ軍の装備や振る舞いなど)を再現して、滑走路もどき、空港もどき、事務所もどき等の模倣施設を作り、ココナッツと藁で作ったラジオもどき等の模倣品を作り、更には島民自身が軍人、船乗り、航空兵の行動を模倣した[1] 。またライフルに見立てた小枝を持ち、階級章の絵や「USA」という文字列等をボディペインティングし、「訓練」や「行進」をこなした。木を削って「ヘッドホン」を作り、それを着けて「管制塔」に座り、「滑走路」に立ち「着陸信号」を振り、「滑走路」をたいまつで照らし狼煙を上げることもした。共感呪術(sympathetic magic)型カーゴ・カルトでは、より多くの飛行機を呼び寄せる事を期待して、藁で飛行機の実物大模型を作り、新しい軍用滑走路もどきも作られた。作られた飛行機はメスなので、これでオスの飛行機が誘われて来るとも考えられた。

カーゴ・カルトに熱中する余り、島の人々の中には模倣施設や運ばれて来る積荷用の倉庫の建設にかまけ、農耕・出漁を放棄した上、莫大な富がもう直ぐ現れる、という確信の元に豚等の蓄えを惜しげもなく消費したり、また今までの財品は邪魔になると考えて食料や犬の歯等およそ財産と考えられる物は捨ててしまう事もあった。

ナンシー・マクダウェルは、カーゴ・カルトなる概念は西洋人の偏見が作り出した虚構のメラネシア文化であり、現実にはそのような文化は存在しないと結論付けている。

なんか、笑い話でも作ろうかと思ったが、涙でLCDが滲んできたので止める。



http://d.hatena.ne.jp/REV/20071113/p4