錯視な話

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実際はそうではない、と知っていても、やはり開いた羽は同じ長さの閉じた羽より長く見え、集中線に交差する直線は歪んで見える。見えるものは見えるのであり、かくかくしかじかでこれは錯覚であるからしてそう感じるのは間違いであると懇切丁寧に説いたところでそれは見当違いである。

 あるところに塔が立っていた。その塔の後ろには、褶曲した地層が見え、そのため、傾いて見えたのだ。
 「あの塔は傾いている!」
 叫ぶ人に向かい、ある旅人は、物差しをあて、「傾いてないんじゃね」と言った。
 しかし、賢明な住民は、
 「「実際どうか」よりも「どう感じるか」が大事なんだ」
 と決定した。
 住民は丘に立ち、塔を、彼らがまっすぐに見えるように傾けた。住民は旗を振り、人夫は綱を引いた。


 夕方近く、住民たちの満足のいく塔となった。
 塔の麓の広場。
 祝賀会で快哉を叫ぶ住人たちの上に