ここは三車線道路

 ここは三車線道路。路肩もあります。東北自動車道とかをイメージするといいかな。埼玉あたりの。
 さて、ここの真ん中車線を、一台の自動車が走っています。
 わりとゴツイ車です。屋根にキャリアが付いていて、バックドアには、屋根に上るステップが付いていたりします。昔、事故にあったとかでスピードが出せないとか。そのためか、速い車に噛み付いているようです。


 ある日、一台が走ってきました。どんどん近づき、すぐ脇を追い抜いていきます。助手席に妻を、後部座席のベビーシートに赤ちゃんを載せています。Baby in car。危ないじゃないか。自動車は追いかけてクラクションを鳴らし幅寄せし、まどを空けて怒鳴ります。俺はスピード出せないんだ。お前みたいに幸せそうに追い越し車線を追い抜く車は我慢できん。その車は、出口が見えるとそこで降りてしまいました。
 そこで高速道路では論争です。追い抜くくらいいいじゃないか。いや、クラクション鳴らされたくらいで、ビビって降りるなんて根性が足りない。スピード出せないなら、左側車線を走ればいいじゃない。もう、一般道を走れば。修理屋に出せばいいのに。件の自動車を中心に、コンボイが出来ています。いや、ほとんど族の集会みたいです。
 みんなでノロノロ運転、あとからきた車も繋がり渋滞となって、どんどん行列は伸びていきます。速い車が怖いなら下道に降りろよ、せめて左側車線を走れよ、そうすれば、追い越し車線の車とコンフリクトしないじゃん。件の車の感情も考えてやれよ。ぜんぜん進みません。と、そこに、スポーツカーが通りかかりました。


 「一緒にツーリングしない?」「いくいく〜」


 よかった。遅い車はいなかったんだね。