版元と取次と書店と、合成の誤謬

http://d.hatena.ne.jp/kongou_ae/20071008/1191858850
http://book.asahi.com/news/TKY200710070036.html

まず、電撃文庫。こちらの特約店制度はその名も高き「電撃組」!(略)そして返品率はなんと23%*11! ええと、書籍の返本率はどんなもんでしたっけ? ええ、30%台後半ですね。


そして割と老舗の*12スニーカー文庫。こちらは特約店制度*13が2004年からスタート*14。何と返本率は20%台まで下がり、2004年度の実売部数は800万部に達したという。ええと、書籍の返品率は平均でどのくらいでしたっけ? 2004年で36%ちょっとくらいです、はい。

http://d.hatena.ne.jp/kenkaian/20060814/1155575582


トットちゃん問題

売れ筋の配本と返品の問題としてよく語られるのが『窓際のトットちゃん』の話ですね。
昔、大ベストセラーとなったこの本、書店の注文に、まんま応じて重版・配本をしていたら、最終的に倉庫が丸々1つ、これの返品で埋まって裁断処分になり、出版元であった講談社は「あれだけ売れて儲け無し」の状態で、担当者のクビがとんだとの噂も。

http://d.hatena.ne.jp/kenkaian/comment?date=20060825#c


 このへんのアレをそうするためには、角川がメガセラーな翻訳物でやったような、買い切りによるマージン優遇、措置が有効だろうけど、一日に何種類入るのか分からない、一般書店でそんな業務をやるのは無理ぽい。紀伊国屋とかジュンク堂とか、そういうレベルであれば、もしかすると本社購買担当が、自社リスクで買い切りできるかも。
 単価値上げで、取次ぎ、書店へのマージンの絶対価格を上げるのも手だけど、売れ行きが下がるのは必至だし。




返本が増えるのは、取次ぎがアホだからや!

こちらに、ジュンク堂の在庫実数のデータがある。もちろん、公表値ではある。

売数   在庫変動

 31  75→57→49→44  いぬかみっ!EXわん!

 27  65→47→43→38  悪魔のミカタ666 3

 25  50→36→27→25  扉の外 3

 21  60→50→43→39  嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 2

 17  50→35→35→33  タロットの御主人様。 2

 15  40→30→26→25  レジンキャストミルク 8

 15  35→29→22→20  C3−シーキューブ

 15  30→20→18→15  世界平和は一家団欒のあとに 3

 10  25→18→18→15  シリアスレイジ 7

 10  20→13→12→10  でぃ・えっち・えぃでもんず!

 *6  15→10→10→*9  カレイドスコープのむこうがわ 2

 *5  25→22→21→20  ペイン・キャプチャー

 *4  20→17→18→16  七不思議の壊し方

 *1  30→28→29→29  ななついろ★ドロップスPure!! 1

http://lightnovel.g.hatena.ne.jp/REV/20070910/p4

9月の新刊が、14冊。概ね、3日間で初期値の4割程の販売。3日で4割なら、一週間で8割位の販売か。上位陣は、ほぼ連載モノで、既刊のn割、という計算なのか、ほぼ妥当な入荷量になっている。でも、新人のペインキャプチャ、七不思議、は2割の消化で、ななついろは一冊の販売。
連続モノであれば、配本というか注文を予測するのは簡単だけど、新刊の販売予測なんてどうやるんだろ。

追記@20080103

 角川書店(東京・千代田)は文庫事業を拡大する。同社として過去最大の部数となる見込みのミステリー小説「ダ・ヴィンチ・コード」を含め、映画原作などの宣伝を強化。有力作品では書店が自らの責任で本の仕入れ冊数を決められる新制度を導入して、返品を減らす。文庫市場は各社の新規参入が相次ぐ一方、販売部数は大幅に縮小している。文庫部門のてこ入れで、今年度は前年度比4割増の3200万部以上の販売を目指す。


 新たに導入した「責任販売制」は、書店が注文した冊数を確実に出荷する代わりに、返品は一定割合しか受け付けない仕組み。3月に発売したダン・ブラウン著の文庫「ダ・ヴィンチ・コード」から導入した。

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/top/index.cfm?i=2006051406433b1
http://d.hatena.ne.jp/gowest/20060515

中間の取次会社も責任の一端を引き受け、返品率が15%を超えた時は出版社の損失分を現金で補填します。この責任販売制は、返品を減らして(通常の委託販売下での返品率は4割超)コストを削減し、利益率を向上させると同時に販売機会損失を防ぐことを狙いとしています。

http://fx2kmas.air-nifty.com/weblog/2006/03/___9ea5.html

 マージンだか、報奨金も高めだったような。

角川書店が今回導入した責任販売制では、

書店が注文した冊数を出荷
その代わり、返品率を一定以下(今回は5%)に抑えられれば角川から報奨金がでる

http://yugo-yamamoto.cocolog-nifty.com/uragami/2006/05/post_c3c0.html

 返品率は、4割だそうで。

ポッター

【出版】ハリー・ポッター 在庫35万セットに書店悲鳴
1 名前: これでも部長ですφ ★ 投稿日: 03/03/13 17:52 ID:???

「売れる」の魔法にかかった!? ハリポタ 35万在庫に悲鳴


 昨年10月に発売され、不況にあえぐ出版業界の“救世主”となった
ハリー・ポッター」シリーズ第4巻「ハリー・ポッターと炎のゴブレット(上下)」
(静山社、セット価3800円)。しかし、返品できないという特例的な契約のため、
全国の書店にある第4巻の在庫は少なくとも約35万セットといい、過剰在庫を
抱えて悲鳴を上げた書店が、他の出版社の書籍を返品するなど波紋を広げている。


 第4巻の販売方法は返品を認めない代わり、注文数を必ず書店に届ける
買い切り制。初版は史上最高の230万セット。11月末の6刷までで350万
セットが全国の書店に販売された。


 だが、年末から売り上げが落ち始めた。「注文数を完売し問題ない」という書店が
ある一方、追加注文し過ぎた書店は「3年でもさばききれない」など大量の在庫を
抱え込む結果となった。


 在庫について、静山社は「約10%の35万セット」としているが、出版ニュース社の
清田義昭社長ら「約20%の70万セット」と推定する業界関係者も多い。


 「第4巻が返品できないため、在庫スペースが少なくなり、他社の書籍を返品
せざるを得なくなった」というのは埼玉県内の書店主。「昨年末から返品が増え
始めたが、原因は第4巻」とみる出版社も複数ある。静山社は「販売推進のための
キャンペーンを検討している」と話している。(京都新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030313-00000087-kyt-kin
http://book.2ch.net/bizplus/kako/1047/10475/1047545536.html