硫黄島について

http://d.hatena.ne.jp/hazama-hazama/20061220#p1

栗林中将を「名将」と評価する人々が根拠とする「事実」は、5日間で陥落すると思われていた硫黄島を栗林中将が全島を要塞化し、玉砕を禁じたことにより1ヶ月以上も持ち堪えさせた、という点に尽きるだろう。ここで栗林中将が評価されているのは彼の取った戦術の有効性であろう。しかし、当時の日本軍の戦略が完全に破綻していた以上、個々の戦術を評価することにどれほどの意義があるのかが僕にはよくわからない。せいぜい「奮戦」したとしか言えない。歴史学的な観点からすれば、その「奮戦」が戦局全体にどれほどの影響を与えたのかが考察されなければならないのだが*2、そういう視点を欠いておいて栗林を「名将」と称えるのは、「大東亜戦争」に少しでも積極的意義を見出したいとする人々の屈折した欲望のように僕には思えてくる。

第三帝国であれば、ヒトラーだから仕方がないよ、っていう感じだけど。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%89%E6%94%BB%E9%98%B2%E6%88%A6
スターリングラード攻防戦のように。


日本軍が兵士の投稿を禁じたため、また栗林が玉砕を禁じたため、栗林戦死後も壕に3ヶ月以上も立てこもり続けた日本軍兵士が多数いた。彼らは渇き・飢餓・疫病・傷痍の坩堝と化した壕の中でひたすら三ヶ月以上も耐えた*3。ある元硫黄島守備隊兵士は「人間の耐久実験」とまで言っている。また、栗林の「一人十殺」発言も、このドキュメンタリーの中では否定的なニュアンスで語られているように思われる*4。地獄のような硫黄島から生還し、戦後60年以上たった今もその記憶に葛藤する人たちを見ると、「栗林中将は名将だった」などと無邪気に「日本人としての誇り」とやらを持つことは僕にはできない。

 この番組はちょっと見た。
 栗林中将が戦死したため、玉砕命令も投降命令も出せず、ひたすら耐えていた。米軍の降伏勧告に投降しようとした兵士を、後ろから下士官が撃った話には色々泣ける。投降し、国に伝わると、戸籍に赤印がついて(家族に)一生ついて回る、と言われたとか。