森博嗣が十分な資産を得ても創作を続ける理由

http://blog.mf-davinci.com/mori_log/archives/2006/03/post_353.php

 トヨタは、クラウンを作った。クラウンは多くの人の欲望を満たした。もっと優れたクラウンを作ることがトヨタの使命になった。しかし、トヨタはあるときカローラを作った。カローラは、クラウンよりも小さく安く、シンプルな車である。クラウンのユーザは、「どうしてそんなレベルの低い車を作るのだ?」と怒ったかもしれない。しかし、今まで車に乗れなかった人たちの需要にトヨタは応えた。まだ会っていない人間がいる、という希望とは、たとえばこういう意味である。
 ちなみに、トヨタの車を買ったことはない。上の文章はもちろん比喩である。僕は、シェアを広げるために書いているのではない。ただ、小さな予感に導かれているにすぎない。結果として、まるで気のせいで、実はなにもなかった、という可能性も大きい。それを見切ることができたら、当然ながら、作家を廃業するつもりである。

 赤松健との対談とか見てみたい。