"マンガ家の描写盗用問題についての私見"

http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2005/10/post_9358.html

この部分をつっこみ始めると、それこそ漫画の表現や歴史そのものを問い直す事態になりかねないものです。あるいは、そこから本質的な「漫画論」が立ち上がる問題ですらあります。つまり、誰でも既成作家の模写からマンガの勉強を始めるわけですからね。そして模写を積み重ねることで、表現技術が「共有」されてきたという歴史がまず、ある。

 なんか、万引き理論でコメント欄が紛糾。
 「彼女だけが模写をしているわけではない」
 というたけくま氏の発言に、
 「みんなやっているから、万引きしてもいいじゃない、は通らない」
 というコメント。
 法律違反をしていない人間というのは想像つかないのだが、つまり、その、
 「オレ(REV)は、一般道路を60km/h、高速道路は100km/h以下で走り、駐車禁止の道路では駐車せず、他人に配布する著作物の複写の際には著作者に連絡し、音楽の複製は他人に配布してはいけない。でも、ボク(コメント者)は放っておいてよ」
 という意見なのだろうか。

 皆が守れない規則は、運用か、規則そのものが実情にあっていない。倫理を踏まえて、規則は再検討するべきだ、でいいと思うのだが。

 まあ、喩えていえば、調子こいてスピード違反したら、懲戒免職になってしまったようなものか。量刑不当というか。追い抜いた相手が悪かったというか。

 実際のところ、数年に一度は起こる「既成写真からの模写盗用事件」などを見ると、業界全体として、この問題の解決に本気で取り組むべきだと思うのですが(たとえば出版社が予算を投じてちゃんとしたフォト・ライブラリーを作るなど)、「のど元過ぎれば」で、いつのまにかそうしたお金のかかる話はうやむやになってしまうのです。業界自体がこれをうやむやにするから、また誰かが模写をする…の繰り返しです。なぜかこの問題に関しては、ほとんど経験が蓄積されないという、不思議な世界なのです。

 まあ、氏が書いているように、お金をかけるより作家をパージしたほうが安いという話。