"現代経済学の直観的方法"

http://pathfind.motion.ne.jp/economics.htm

現代のビジネス社会に生きる人間たちの大部分も、大量の資金投入によってできないことは何もないと信じているだろう。そうだとすれば、やはり彼らにとっても鉄道網=金融は何にも増して重要な問題である。彼らにとっては、現場の人間たちの地道な努力で物事を解決しようなどという考え(要するにわれわれ部外者が「健全な経済活動」と考えているようなもの)は、物量作戦を否定して一定の兵力で勝利を得ようとする、前近代的な用兵思想に見えるに違いない。
 またそういう用兵思想のもとでは、鉄道網の輸送効率が向上するということは、ある地域での交戦でどの程度の存在を相手に与えたかなどということより、作戦上遥かに重要な意味を持つ。つまり彼らは「公定歩合が下がった」といニュースを、鉄道網上の障害が減って輸送・補給効率が向上したと捉えているのである。

 近代戦は鉄道戦であり、戦域の徴発を越えた戦力の集中を可能にする。鉄砲を持った兵隊がどれだけ集まるかで趨勢は決する。っていうことと、資本の集中を対比させていておもしろい。ある事業を始めるに、自己資本を蓄積するには10年かかるかもしれない。銀行から金を借りれば即座に事業を始められ、その時間の差は決定的なものになる。
 次は、貯蓄と投資の話。「設備投資に使うオカネが無いので、郵貯をつかって貯金を集めた」話と、「貯金は市場から通貨を減らすので、どこかに再投資をしないといけなくなる」話は、同じ話だけれどなんだか皮肉。