ハンニバル戦記(中) 

 読書中。
 アレクサンダー大王は、騎兵や歩兵を有機的に運用し、敵の非戦力化を行い、数で優る敵を撃破した。ハンニバルは、ヌミディア騎兵を効果的に運用し、ローマの歩兵を破った。で、スペインに投入されたスキピオは、ローマの慣例を打ち破る速攻、意外な場所からの攻勢で拠点を落とし、軽歩兵の両翼に展開させた重装歩兵により敵を撃破した。
 こういうことは、言うは易く、行うは難い。分割された部隊を効果的に運用するには、かなり優秀な士官が必要だ。さもないと、包囲すべく突出した部隊が単に逆包囲されて殲滅されたり、逆に、一翼がもたついている間に全軍の攻勢企図がストップしたりしかねない。オリエントの軍隊が、単純な数で押す作戦しか取らないのは、大群を御するのに、整列させて太鼓の音で足を運ばせるしかなかったのかもしれない。
 物語は中盤。ピレネーを越えてハンニバルの救援に向かった弟は、ローマとの戦闘に入る。ローマの同盟都市を離反させることができず、シチリア島の制圧もできなかった(しなかった)カルタゴは、ハンニバルの「戦術的」勝利を、もっと大きな勝利に生かすことができなかった。ここで、運命は決まった。