ヤマトの問題

そしてぼくの珍説によれば、ガミラスとはアメリカ合衆国のメタファーだった。
ならばイスカンダルが表すものも一つしかない。

イスカンダルもまた、アメリカのメタファーだ。

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てな具合で、要するに戦前に生まれ、荒廃した焼け跡で少年時代を過ごした人々は、アメリカの「悪」を見、続いてアメリカの「善」を見た。ぼくはこのアメリカのダブルイメージこそが、ガミラスイスカンダルの二重連星というイメージに結びついたように感じている。

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さらば宇宙戦艦ヤマト』で注目すべき点は、ヤマトの波動砲の使い方にあったとぼくは思う。

前作で発射された波動砲は5回。

1回目は木星の「浮遊大陸」に向けて発射。
2回目はオリオン座アルファ星の「炎」に向けて発射。
3回目はバラン星の「怪獣バラノドン」に向けて発射。
4回目はバラン星の「人工太陽」に向けて発射。
5回目はガミラス星の「火山脈」に向けて発射された。

一言でいえば前作のヤマトは、人が乗っていることが明らかである戦闘機や艦船に対しては、いっさい波動砲は使わなかった。
仮にも唯一の核被爆国である日本人が、軽々と人に向けて核を撃ってはならない。この点だけでも『ヤマト』スタッフの高い志が読み取れる好例だろう。『ヤマト』は決して、アメリカ人に過去の仕返しをしに行っただけの妄想系ではない。

ヤマトを廃艦させ、記念艦にしようとした人々。
その代表格である地球連邦政府の初代大統領は、アンドロメダ進水式に際してこう言った。

「宇宙の平和、それをもたらし、それを守るリーダーとなるのは我が地球であります」

ところが「リーダー」を自称する連邦政府には「宇宙の平和」への責任感などカケラもなく、そのことが古代を憤慨させ、ヤマトを出撃させる結果になった。古代から見れば、連邦政府の叫ぶ「宇宙の平和」なんぞは地球人のエゴイズムでしかなく、それが高じたものこそが「宇宙の法」「宇宙の秩序」を語るガトランティスに他ならなかったのだろう。

つまりガトランティス=地球連邦政府

古代が戦おうとしたものとは、「宇宙の愛」すなわち宇宙に生きる全てのものの「平等」を奪い、我が手で支配しようとするこういった考え方だったとぼくは思う。白色彗星帝国=ガトランティスとは、未来の地球連邦政府の姿そのものだった。

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 ガミラス帝国は、ドイツ軍風に描かれているから分かりにくいが、宇宙戦艦ヤマトの物語が戦艦大和の沖縄特攻作戦のオマージュだとすれば、ガミラス帝国は勿論、アメリカと理解しなければならない。

 そう見ると、宇宙戦艦ヤマトに於ける冥王星マリアナ諸島であり、遊星爆弾はB29だと分かる。荒れ果てた地球は焦土となった日本であり、滅びかけている。そこに宇宙戦艦ヤマトが登場し、ガミラス帝国=アメリカを破壊する・・・そういう妄想イメージがヤマトの物語に隠されていた。

http://d.hatena.ne.jp/NOFNOF/20150714/1436838470


ウルトラマンが、日米安保(で駐留している米軍)であるという話*1と違い、宇宙戦艦ヤマトが、朽ちた戦艦大和から登場するという直裁的な設定ではある。たぶん、放送当時から現在まで様々な評論があると思われる。

そんで、2017年に再び製作されるヤマト2202*2が、どんな話になるのかちょっと気になる。2016年の映画界を賑わせたシンゴジ、君の名は、が何を象徴していたのかなんて一目瞭然だったし、この世界の片隅に、が登場した時代背景も、これまた明瞭だったし。