"裏切り者検知モジュール"がピコピコしちゃうぜ。

「なんでそんなに怒るのかな?」
と、疑問文をみたけれど、それ、息を止めると苦しいとか、火に炙られると熱い、レベルの話だと思う。
Blog上では、「酸素を吸わなければいけない、なんて、そんな固定概念に縛られる必要はない」とか、「心頭を滅却すれば火もまた涼し」とか、それに類する威勢のい意見を散見するけど、そう思うなら、パラダイムに縛られず、酸素の代わりにヘリウムでも吸ってみてほしい。5分ほど。あ、なんで苦しいと苦しいの?とか、なんで熱いと熱いの?という疑問については、進化の過程上、生存に有利であった、以上の解説は不要かと思う。


あ、こういうモジュールが解剖学的に脳に局在している、という話ではないからね。

人間は協力者と非協力者を瞬時に区別している可能性を示唆している

進化心理学者のCosmidesによれば、人間は“裏切り者”を検知するモジュールを進化させてきたと考えられている。「裏切り者検知」能力が人間に実際に備わっているかどうかを実証する研究のなかで、Mealeyら(1996)やOda(1997)は、顔の再認課題において非協力者とラベル付けされた人の顔は、協力者とラベル付けされた人の顔よりも記憶されやすいという結果を示した。下間ら(2002)では上記のようなラベル付けをしない再認課題においても、実際にPDで非協力を選択した人の顔の方がHit率・Fa率がともに高いという結果を得ている。この結果は、非協力者の顔に何らかの特徴が存在しており、人間は協力者と非協力者を瞬時に区別している可能性を示唆している。

http://lynx.let.hokudai.ac.jp/lab/papers/thesis/2002/iwasaki.html

『裏切り検知モジュール』や『社会的交換モジュール』から自由にはなれない

文明の黎明期にあった古代ギリシア人達は、同じギリシア人でありながら、自分の所属するポリスは内部と認知して愛国心を抱けたが、外部と認知するギリシア全土には愛国心を抱けず、マケドニアアレクサンドロスの侵攻の前に手痛い敗北を喫する事になった。


厳密な意味では、『裏切り検知モジュール(自集団に有害なものを探し出して排除・差別する認知モジュール)』や『社会的交換モジュール(自集団に貢献するものを探し出して利益・協力を交換する認知モジュール)』から私たちは決して自由にはなれないと断言してもいいだろう。

http://charm.at.webry.info/200604/article_1.html

裏切り検知モジュールが強烈に働くと『裏切り者に対する憎悪と拒絶』がその人の精神を侵食するからであり、恋愛関係の絶頂期にあると信じている人が、恋人のちょっとした浮気心や魅力的な他の異性への関心に、制御困難な嫉妬の怒りを覚えるのは、無条件に信じていた関係が、条件付きの関係だと知らされて裏切りを瞬間的に検知してしまうからであろう。

日本国憲法の第9条の精神を保持する意義があるとするならば、『本人の意向や思想に反して戦争行為への加担や協力を強制されない法的根拠になり、「集団主義の排除機制や裏切り検知モジュールの圧力」に対する防波堤になるからだ』ということは言えるだろう。